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2026年3月 グローバル知財 最新事情 No. 9  【特許提訴】CaltechがZoomを提訴:学術研究発の通信技術がビデオ会議の「基盤」を問う

  • 執筆者の写真: Takao Saito
    Takao Saito
  • 3月4日
  • 読了時間: 3分

2026年3月4日

日本弁理士・米国弁護士 齊藤尚男


(1)はじめに


 通信技術分野で強力な特許ポートフォリオを誇るカリフォルニア工科大学(Caltech)が、ビデオ会議大手のZoom Communications社を特許侵害で提訴しました。Apple等との過去の勝訴実績を持つCaltechの参戦は、テック業界における「アカデミア対巨大企業」の知財紛争が新たな局面に入ったことを示しています。


(2)本件の争点と金額的規模


  1. 高エネルギー物理学研究からの転用 侵害が主張されている特許は、多人数による同時データ通信を最適化する技術であり、Zoomのビジネスモデルの核心部分に触れるものです。

  2. 賠償額の規模(日本円換算) Zoomの広範な普及度を考慮すると、和解金や損害賠償額は数億ドル単位(数百億円〜数千億円規模)に達する可能性があると目されています。


  3. LNP特許の支配力 mRNAそのものよりも、それをデリバリーするプラットフォーム技術(LNP)の特許がいかに強力であるかを、今回の和解金額が証明した形となります。


(3)実務上の留意点:大学特許の「爆発力」

 

  1. 今回のケースは、数十年前に基礎研究として開発された技術が、後の社会変化(リモートワークの普及)によって爆発的な価値を持つに至った好例です。

  2. 企業としては、自社のコア製品が利用している通信プロトコルやデータ処理技術の中に、大学等の研究機関が保有する「休眠特許」や「基盤特許」が潜んでいないか、改めてリスク評価を行うことの重要性を物語っています。


[執筆者] 

   

齊藤尚男(Takao Saito)

齊藤国際知財事務所代表、日本弁理士、米国弁護士(カリフォルニア州)。

主に特許ライセンス交渉、特許侵害訴訟等の知的財産に関連する紛争に関与。また、特許ポートフォリオ・マネージメント、知的財産戦略の策定、 M&A 、企業間の戦略的提携において、知的財産権に関するカウンセリングを行う。18年以上に亘りパナソニックにおいて、特許権ライセンス、知財キャッシュ化、事業契約及び訴訟等の実務経験を有する。2022年齊藤国際知財事務所創業、Squall IP 合同会社設立するとともに、Wiggin & Dana米国法律事務所との提携開始、同事務所コンサルティングカウンセル就任。同志社大学法学部、京都大学法学研究科法制理論専攻後期博士課程卒業 博士(法学)。

 

 


※本ニュースレターは情報提供目的で作成されており、法的助言ではありませんのでご留意ください。また、本ニュースレターは発行日(作成日)時点の情報に基づいており、その時点後の情報は反映されておりません。特に、速報の場合には、その性格上、現状の解釈・慣行と異なる場合がありますので、ご留意ください。本ニュースレターは、各位のご参考のために一般的な情報を簡潔に提供することを目的としたものであり、当事務所のアドバイスを構成するものではありません。一般的情報としての性質上、法令の条文や出典の引用を意図的に省略している場合があります。



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